2013年9月3日火曜日

家の作りやうは、冬をむねとすべし!?


吉田兼好は徒然草で「夏をむねとすべし」と書きました。

冷房もなく、ヒートアイランドもない時代においてはそれは正しかったです。

しかし、時代がかわれば状況も変わります。

もちろん現代でもパッシブデザインにおいて、夏対策デザインというのは重要です。

しかし、夏と冬でどちらがエネルギーを多く使うか、という省エネ時代の問いにおいては

「冬をむねとする」ことが先行します。


現代では温暖化やヒートアイランド現象、コンクリート舗装、住環境での緑地の減少もあって

夏は冷房を抜きに考えることは無理になってきています。

では同じ住環境で冷房と暖房とどちらがエネルギーを使うでしょうか?


答えは暖房です。なぜなら、外気温が3度だとしたら快適な温度まで室温を暖めるには

20度上げなくてはいけないからです。

冷房だったら外気温が30度だとしても、4~5度下げるだけでいいのです。

さらに室温を下げると湿度も下げるので、気流(扇風機等)もあればさらに体感温度は下がります。


冷房はピーク時に集中するのでエネルギーを多く使うように錯覚しますが、(ビル空調は別として)

住宅においては冬のほうが大きくエネルギーを使います。


従って、冬のエネルギー消費を抑える断熱や太陽からの熱のダイレクトゲインなどが

重要になります。断熱を高めることは、夏の冷房効果のアップにもつながります。


ここで大事なのはバランスです。

世の中には北欧やカナダのような家の性能ばかりを賛美する人がいます。

しかしながら、北海道より緯度の高い地域と亜熱帯に近い関東以南を一緒くたに語るのも

間違っています。


日本は四季折々の豊かな季節に恵まれた地域です。

春と秋を中心に大部分の時期では窓を大きく開け放して過ごすことができる気候の国です。

ほんとに厳しい環境は真夏と真冬の一時期だけです。


断熱性能を高めつつも、生活の為の住環境性能もあわせて考えた日本らしい家を模索する

事が重要です。




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